なんで泣いてるの

「ドーリスがドーリスが」

わたしが

「ドーリスがドーリスが」

わたしが

「ドーリスドーリスドーリスドーリス「うるさいよ!!!」



投げつけられたコーヒーミルが悲しく呻いた。無機質な部屋の中でそいつだけ生きているみたいだった。寒くなって気づいた、もうすぐ一年経つじゃないか。


「な、んで・・」
「死にたい死にたい死にたい」
「毎日楽しいじゃん、毎日笑ってたじゃん」
「じゃあ笑ってたら死なないの、楽しかったら死なないの、ずっと」
「・・・なんでだよ」


俺がいるじゃないか
俺がとなりで手をつないでキスもちょっとエッチなたのしいことも全部ぜんぶ全部さ
夢みたいな日々を2人で生きてこうよきっと死ぬまで幸せになれるよ


「ヒーローにも殺人者にもなれない私が生きている資格なんかないんだよ」
「それじゃあ世界の大半はどうなってんだよ」
「知ってた?私どうして人間に生まれたのか知ってるの」
「ドーリス、」
「後悔するためだよ」
「こうかい」
「あなたと出会ってうれしい、けどその瞬間から絶望へのカウントダウンが始まったの」
「早く早く‥だめだ、だめ、なんで」

「大好きだから、死にたい」




ドーリスの手からビー玉が零れ落ちて部屋の隅へ転がっていく、
ピンク・青・黄色・うす緑・紫
大嫌いって言ってた赤はやっぱりもってないんだね、


「‥早く、会いたい」





遮光カーテンのせいでまったく光が入ってこない真っ暗闇の部屋の中でひとりつぶやいた。
夢の中のドーリスはまだ僕に死にたいと嘆いてくる。
おろかだ、そう思って涙が一筋流れた。

おろかだ、
現実にはいない君を夢に描いて毎夜愛を捧げる僕も
おろかだ、
夢の中にいる僕に死を願う存在しない君も

どうして僕らであってしまったんだろう
それでも僕は泣いてしまう、君を愛してしまうから
携帯のアラームが鳴るまであと2時間、さぁ彼女に会いに行かなくちゃ、





e.(090125)
あのこがほしい、(彼女はいつも死にたいという)