さっきから彼が私に向かって何か言ってる。 でも、もう遅すぎるのよ、全部。 もう何にもわかんなくなってしまった 誰が悪いかなんてのはもうどうでもいいことだけど、でも誰かが悪かったよ (かわいい小鳥が逃げ出してしまった) (、違う・・・逃がしたのよあの人が、自らの手で) わかっていたけどゆるせなかった。 どうして私じゃないの? 私知っているのに、知っていたのに (あいつはあなたのこと全部なんて知らない) 昔から、ちっちゃな小鳥がいつも彼の傍においてあって、 おもちゃみたいな羽を揺らしながら彼も私をも魅了した 大人たちはそんなものに惑わされては駄目だと何度も逃がそうとしたけど、 あの頃の彼はそれを頑なに拒んで、触らせることもしなかった。 私はその様子をずっとずっとずっと傍で見ていたから、 彼の大切なものならなんとしてでも守らなくては、という訳のわからない使命感に燃えていた。(だから今でも私は) 彼が大事な物を誰にも触れさせないで守るみたいに、私も彼のことを守るのよ なのに、なのに、なのに 小鳥は逃げ出してしまった 髪の長い女の肩にそっと止まった 彼が差し出した 彼から差し出した 「本当にやったのか?なあ、なんか言えよ、・・・なあっ」 (なんでなんで、どうして?) 怒られる理由が分からないよ 彼が青ざめた顔で私の肩を痛いぐらいに掴んでは揺さぶっている理由も 私は彼に小鳥を返しに来ただけなのに、かれの宝物のことりを (ああそうか、そういえば私、少し失敗しちゃったんだ) 小鳥の羽が紅く染まっていたので、 それを取ってやろうと指を伸ばして拭ってみたら 更に濃く私にも同じような色が移った。 それでも抱きしめてもらえないことなんて (本当はとうの昔に知っていたはずだったのに、) ねえ聞いて?私ちっともおかしくなんてないよ 悔しかったの、あの子のことが だって小さい時どんなに頼んでも貰えなかったあなたの大事な物を持っていったから 私もうどんなに頑張ったってあなたの傍にずっといれないの分かってたから あれまで持っていかれたらもうなにもかも消えちゃうって思ったの 本当はね、あなたのこと泣かせたくなんてなかった、でも仕方ないよ 大丈夫 悪いのは私だって知ってるの 逃げ出すなら、あのカーテンから新しい光が溢れ出す頃に (080824)