からの心なら ただの体なら 馬鹿なぼくらなら 何処へでも行けるだろう「あなたは私の一部なんだ」 「え、なに?気持ち悪いこと言うね」 真顔で呟く私を、彼はふふっと笑い飛ばした。 そんなのはいつものことだから気にしない(ほんとに失礼な人だ。) 私の思想をちょっとでもわかってもらいたい。 そのためにどれだけ私が必死になってるかって、それはもう。 「完璧な人間はいないんでしょ?」 「そういうことになってるね」 「そしたら、誰にでも欠けてるところは見つかるんでしょ」 「なにが言いたいの」 「私の欠けてる部分はあなただって言いたいの」 彼は少しの間(永遠かも)じっと私の目を覗き込んだ。 負けじと見返してみる。 マグカップから立ち上る湯気が視界をあやふやにしていた。 無言のにらめっこが数秒続いて、彼はふと視線をそらした(勝った、) 「君に欠如してるのは常識だと思うけど、ね」 「しつれいな!常識くらい!」 「そ?」 「・・・・」 「・・・・」 「・・・・・・不完全、」 「不服の間違いじゃ」 「ねえ」 私は完璧な人間になれるかな。 答えなら知っている。常識くらい持っているんだ。 だから彼には頷いて欲しくなかった。 そして私は、彼が頷かないことも知っていた。 (不確かな確信ではあるが、) 「・・・・・なれないんじゃないかな」 「(うん、予想通り)」 「君の理論によれば君が完璧になるには、僕とひとつにならなきゃいけないんだ」 「なってみる?」 「絶対、イヤ」 「予想した解答だけど傷つくね・・」 「さっきから全部お見通しだからね」 ・・・・はて。 「全部、とは?」 「君が勝手に勝ったつもりでいることとか、なんとか、かんとか」 なんだ、やっぱりそうか、それくらい 、わか っ て (わかるかー!) 「じゃあさあ」 「え、はい、」 「こうしてみよう」 ぎぅ、と体温。 おなじシャンプーの匂い。 とくとくと呼応する心音。 あったかいなあお日様みたいだなあ、 私、永遠にこのままでいいや、 (永遠というのは意外と簡単に)(手が届く) (そんなことをだれかが言っていた) 「これが、限りなく完全に近い状態なんじゃないでしょうか?」 とくん、とくん、 瞼を閉じたら容易に想像ができた。 「どう?」 「・・・うん、これが一番いいかもね」 (ヤワな私たちなら ) 「・・これが完全だ」 ( 何処へでも行けるだろう) ≪ back