激しく喘ぐ声が部屋を満たしていた。 咽喉元を押さえて膝を着く彼をあたしはぼうっと見下ろす。 そばにいてもいい?とか あたしはなんにもできないんだよ?とか そんな無意味な確かめ合いはもういらなくなるんだよ、 ごめん、ごめんね、さようなら、愛しい人。half past 5 a.m.「っは、なん、・・・ぁ」 「・・・・・・」 あたしは愚かな人間です。 人を愛するには幼すぎたのです。 幼稚なあたしが彼のためにできることなど、 (何ひとつとしてなかったのだ。) ぜいぜいと荒い息の中で、彼が確かにあたしの名前を呼んだ。 むせ返るほどの暑さを感じる。 「あたし、あたしね、あなたのためにできること探したの」 「、やめ、・・・っ」 「いっぱい考えたんだ、でも見つからなかった、そんなのなかったの」 「・・は、ぅあ、」 「だから、だからっ、こうしたの、あたしにはこれしかっ・・・」 狂っている? 違う、ちがうんだ。 彼を愛していた。 愛していたから殺したの。 せめてこの手で彼を安楽の地へ行かせたかった。 あたしはなんにも持っていなかったのだから。 どうして生まれてきたかなんてもう訊かない。 あたしの見上げた空がどうして青く晴れていたのかなんて、もう。 もはやすべては無駄なこと、 能力の限りあたしを愛してくれた、 あの人の最後の視界にあたしはどう映ったのだろう。 返事をしない腕は確かにあたしを守ってくれていたもの、 「さよなら、さよなら、たくさん愛してくれてありがとう、」 もう鼓動しない彼の胸ですこし眠ろう、 頭を心臓の近くに預けた。 (ほらこんなに 近くにいたよ、) (071026) オンマウスあとがき