「ねえ」 「ん?なに?」 「この階段、帰るときに下るんだよね?」 「そりゃそうでしょ」 「せっかくこんなに必死こいて上ったのに?」 頑張って上りきった階段を振り返る。 気持ち悪くなるほど、急だ。 「帰りたくないの?」 「…帰りたい」 「じゃあ下るしかないよ」 呆れた様に笑った彼は「さ、行こ」と、私の手を引いてお寺の本堂へ歩き出した。 お互いの手のひらの汗がまじるのを感じた。 お寺の本堂に入った瞬間、溜め息がもれた。 清浄な空気に火照った体が冷やされて、心がすっと落ち着いた。 彼はカメラを抱えてきらきらと目を輝かせている。 「いいなあ」 彼が静かに言う。 私はそれにただ頷いて、カメラを構える彼の横にずっと立っていた。 「また、来たい」 下る階段の前に着いたとき、彼がお寺を振り返った。 「また来ればいいじゃん」 私は呆れたように笑って「さ、帰ろ」と、彼の手を引いた。 「うん、また来よう」 利き手じゃない方の薬指に心地よい重さを感じた。 あとがき 久保田アコさまリク「階段」でしたー。 彼は仏閣とか歴史ヲタクです。 私的にはかなりの萌え要素です。 文系いいよ文系。 文系書けたから自分的には満足してる。 アコちゃん! 遅くなってごめんなさい! 相変わらず成長しない文才でごめんなさい! 返品可! 20080124