私、川原詩織は今病院に入院している。

何の病気か私はよく知らず、症状はそんなにないが治すには時間がかかるらしい。

というのも、それは私がまだ成人ではないからなのも一つの理由だとか。

もう入院して半年ほどたった。

今は夏で、病院のなかは冷房がきいていて涼しい。

ずっとベッドの中にいるのもつまらないので、いつも仲良くしている子のところへ行こうと考えていた。

ところが。

「詩織。見舞いにきたぞ。」

突然の来客によって行くのを阻まれた。

「…う、嘘!!なんで圭がここにいるの!?」

ひどいなぁ、とかなんとか言ってるその人は吉田圭といって

半年前まで私が住んでいた家の近所の知り合いだった。

「それより、なんでここにいるの?
だって確か大学に入ってからすぐに外国に行ってたんじゃなかった?」

「まぁな。ヨーロッパに行っていたんだ。
だけど日本に帰る用ができたんで、そのついでにお前の見舞いにも行こうと思ってたんだよ。」

圭は自分の鞄からきれいにラッピングされた箱をだして、私に差し出した。

「土産だ。」

「あっありがとう!何だろ、開けていい?」

私は中に入っているものがとても気になった。

しかし。

「俺が帰ったら開けてくれ。」

……は?

「何で?」

「何でも。」

「意味わかんない。まぁいいや。変なの。」

うるさい、といって向こうを向いてしまった。

しばしの沈黙。

なにか言うのを待ってみる。

すると圭はおもむろに話し始めた。

「しかし驚いたよ。お前、引っ越した後すぐに入院したんだろ?
俺が知ったのは向こうに行ってからだったよ、うちの親から聞いたんだ。」

「そうだったんだ。」

私も入院するとは思っていなかった。

ただの貧血で倒れただけだと思っていた。

引越しして、近くの高校に通う予定だったのに、病気のせいでほとんど行っていない。

「お前、今中学生だっけ?」

と圭がいたずらっぽくいった。

「失礼な。もう高校生になりましたー。」

「それはそれは。よかったなぁ、無事卒業できて。」

「どういう意味よ?私が中学校を卒業できないとでも?」

「ぜんっぜん数学ができなくて俺に泣きついてきたのはどこのどいつだったっけなぁ?」

…その話か。

「うるさいなぁ。万年優等生だった圭にはわからないわよ!
ていうかそんなくだらない話するなら帰れ!バカ!」

圭はあははは、と笑っている。

これでは以前と全く変わっていないではないか。

「ごめんごめん。
そろそろ帰るとしよう。じゃあまたな。」

「…じゃあね。」

まったくいつもいつもそうやって面白がって。

…そういえばさっきのプレゼントは何だろう?

開けてみよう。

「!!
すごいきれい!」

入っていたのはネックレスだった。

添えられていたカードに、メアドが書いてあった。

「言いたいことがあるなら言ってから帰りなさいよ…馬鹿。」

…ほんとに分かりづらいんだから。昔っから。